さくらくらげ
また去年とちいとばかり違う春がきた
二回目の春だ
久しぶりに書く
去年は変われるタイミングで遠い街に行ける助け船がわたしの心の水際まで来ていたが
相変わらず平凡と堕落に飼い慣らされた自分はその切符を捨ててしまった
きっと数年前なら掴めていたのだろう
クラゲが見たいがあいにく奴等は装飾された水槽の中でしか泳いでいない
趣味の悪い光に照らされていないとそこにいる事すら確認できない
サクラが見たいが新しい希望と馬鹿騒ぎする酔っ払いがいないと咲いてくれない
ここ一年で私にとっての壊れない風景が壊れはじめた、風景が私を変えようとしている
生産性のない日々感じる不安、恐怖、嫉妬、長年続く苦しみに
漠然ともう大丈夫と安堵しはじめたのは終わりが近いからなのかもしれない
それでも私の背中を押してくれる人がいるからもう少し苦しんでみようかと思うけど
その日が来ないとわからない
ここ一年人生が2個欲しいと本気で思った
壊れない代わりに物事への感度が一年とは思えない程薄まった生きることにただただ特化してしまったが
自分専用のタバコの匂いを他人が吸ってどんどんこの世から自分という存在がなくなっていく感覚がまだある季節も思い出もどんどん塗り替えられて一つの点になってしまうのかな
その時そこに立っているのはきっと私一人だろう
出来る事なら最高の春を最高のシーンを何度も何度も見返してそのドラマの主人公たちはそこから出てこないで
変わらないで