天使

私には悩みがある

それは男の事でも、人間関係の事でも、容姿の事でもない

私の悩みは

「空を飛べない事」

生まれた時から違和感しかなかった

何故鉛のように重たい体を持って、

地を這いずっているのかを

違和感しかない

体の真ん中に穴が空いていること

妙に白い肌

人を傷つけてしまう手に

ボロボロと余計な事ばかり垂れ流す口

幼い頃から人間達の話す事が宇宙人の会話のようにまるで理解ができなかった

人の気持ちがわからない

同級生や大人たちが悩んでる事、傷つく事

まるでわからなかった

そして平気な顔で肉を食う

私には悍ましくて仕方がなかった

明らかに生まれる場所を間違えてしまったんだなと思った

人の子はいずれ人になる

人の子でない私は人になれるのかと不安で仕方なかった

だが私も立派にただの人間様だった

大人になったのは成長したからじゃない

大人になったのは汚れたから

今では誰とでも仲良くできる

高級な肉をなんの躊躇もなく食える

大人になるに連れて高所恐怖症になった

幼い頃みんながママごとや少女趣味に夢中な頃

私は校庭にあった大きな木に登りそこから風を仰ぐのが好きだった、そこが一番違和感のない場所だ

今は怖くて行けない

生きるに特化した今の私を見て天使の私はどう思うんだろう